花チャンネル

日々、私の中から生まれる詩、言葉を綴っています。

心の扉

最近、ニュースを見て痛ましいと思った事。


「長年引きこもって居た人を業者さんが、無理やり出して、ひとり暮らしで働かせたら、ひとりぼっちで部屋で亡くなっていた。」




どうして扉の奥に閉じこもった人を無理やり引っ張り出したんだろう。



その扉は文字通り
「心の扉」



それは内側から鍵がかかっている。

その人自身が内側からかけたもの。



怖いものから自分を護るために。



その部屋は自分が安全だと思える最後の砦。


ゆりかごのようなもの。




それを力ずくで打ち壊し、中にいる本人を引きずり出した。


怖い怖い外の世界へと。



「北風と太陽」


北風と太陽が、旅人の服を脱がせて裸にする勝負するお噺。


旅人の服を脱がせるために、冷たい風を吹き付ける北風。
旅人は服を強く押さえた。
さらに強く吹く北風。
旅人は堪らず、服を重ねて着た。


太陽はポカポカと暖かい陽射しをさした。
旅人は服を脱ぎ始めた。
旅人は薄着になった。
つぎはジリジリと焼け付くような陽射し。
旅人は堪らず、裸になって河に入った。


最後に河の中で「はぁ~っ、気持ちいい!」って笑ってる旅人。




このお噺は、とても大切なメッセージを伝えてるとおもうの。




この業者さんのやり方は間違いなく、北風方式。





籠城した人を攻撃すれば、防御をさらに固くする。


亀を突っつけば、さらに頭を引っ込める。


やればやるほど逆効果なんだよ。



太陽方式は
「旅人が本当に求めているものをプレゼントする」方法。




そのためには焦らずに、まず観察すること。


その人が何を求めているのか、じっくり探る事。


そしてその人が本当に必要としているモノをプレゼントすること。





まずは扉の向こう側から対話をするべきだった。


ゆっくりと焦らずに。



「外は思っていたほど寒くはないのかもしれない。」

と思えば
そろそろと頭だけ出して外の様子を見るために鍵を外すよ。



そこから少しずつ扉を少し開けた状態でお話できるように。



「外でいきなり働けーなんて言わないよ、僕と遊ぼう?」


「君の事たくさん知りたい、少しずつでも教えてほしい。」



バターンと扉を閉められても焦らない。




「自分はここに居て良いんだ」

「この人は自分を認めてくれるんだ」




そう思ってくれれば、少しずつ扉は開いていく。




傷付いた心と身体を護るために硬く閉じた扉を、無理やり開かないで欲しい。



それはその人が必死で考案した鎧なの。




人は「ここなら鎧を脱いでも大丈夫」と思えば自然に鎧を脱ぐ生きものなんだよ。



信じてあげてよ、その人の可能性を。



人の痛みが解らない人や、感じれない人、想像できない人は
人の心に触れるお仕事をしてはダメなんだよ。



わからないなら、さわらないで。




責めるのは簡単だけど

きっと、暖かい人との関わりが必要なのは業者さんも一緒なんだよね。




暖かい人との関わりが、人を癒していく。


そう私は信じてる。 


なら、その人の輪を少しずつ広げていく。



触れる人が暖かくなるように



それが今の私にできる事なのかな。