花チャンネル

日々、私の中から生まれる詩、言葉を綴っています。

ジュース

私がまだ街で働いていたとき



とても暑い日だったので自販機でジュースを買おうと思って。


そしたら外国人のおじいちゃんが自販機の前で呆然としてた。


私は日本語以外は話せないから、日本語で
「どうしたの?」と話しかけてみた。


振り向いた彼は、手を差し伸べてきた。



手の中には、大量の小銭。



あーそっか、どれが何円玉か分からないんだ。



私は、自販機の商品を一つ一つ指さしながら
「どれが買いたいの?」と聞いてみた。


そしたらあるジュースを指さした。


「じゃあ、貸して」と私は彼の小銭をいったん受け取ってジュースを買ってあげた。



彼は
「アリガト、アリガト!」
と言って、私に渡した小銭をそのままに去ろうとした。



「待って待って、忘れてるよ!」というと彼は




「ギフト!」




と満面の笑みと、大きな声で一言。



その後に続く言葉は良く分からなかったけど



想いは伝わってきた。



「ギフトだよ!それで、君のジュースを買いなさい」



って。



思わず手を合わせて
笑顔で「ありがとう!」と私が言うと



彼も手を合わせながら
笑顔で「アリガト!」と





彼に頂いたジュースはとびっきり美味しかった!!



味だけじゃない、心まで満たされた。





言葉は分からないけど
お互いの想いで笑顔になった、とてもとても良い思い出です。



今日、日なたぼっこをしていたら
その出来事を思い出して
一人で笑顔になっていました。




「ありがとう」というと
「ありがとう」という言葉が返ってくる。


これ以上の人間関係なんてないよね、と思う今日この頃なのでした。




そしてその自販機のあった場所は観光名所で


今はコロナで閉まっているんです。



早く開くといいなぁ。



おじいちゃん、また来るといいなぁと思います。