花チャンネル

日々、私の中から生まれる詩、言葉を綴っています。

どんぐり拾い

みんなは走るのが得意、飛ぶのが得意。



今日も私の横をマラソン大会のように走り抜けて行く。

「すごいな~」って尊敬しちゃう。

私にはそんな事できないや。



みんなから見ると私の過ごし方はとても遅く感じるみたい。



うん知ってるよ!

とってものんびりだよ。



承知してるさ。

自負してる。



そう、ちょっと自慢したいのだ!



私がやっと見つけた過ごし方だから。



私はみんなが走る沿道の公園でどんぐり拾いをしている。


足元を見つめて、一つ一つ拾っていく。


「かわいいな」
「きれいだな」
と思ったどんぐりを丁寧に拾って大切にかごの中に入れてくの。




最初は


「ほーら頑張って!」
と声をかけられて


みんなと走ってみようかなと思って走ってみた。



でも綺麗だなと思った風景も一瞬で通り過ぎてしまうし
せっかく拾った大切なものも取りこぼしてしまう。



いったん止まって休憩してると、横にきれいな公園があって
そこにはコロコロかわいいどんぐりがあった。



止まってどんぐりを拾ってると横から



「かわいい!それ、どこで拾ったの?」


と声をかけられた。


「そこの木の下に落ちてたよ。一緒に行く?」



「うん!」



とその子は答えた。



ラソン大会してるときは
話しかける事も、かけられる事もなかったのに。



初めて友達ができた。



ふっとマラソン大会の道を見てみると
走ってる人同士でも声をかけ合ってる。
お話ししながら走ってる、とても楽しそうに。




そっか、走る事が好きな人は走ってて

応援が好きな人は応援しててて

公園でのんびりくつろいでる人はそこでくつろぐ事が好きなんだ。




私はいまここに落ちている幸せを一つ一つ丁寧に拾っていくのが好き。



そうしたらおんなじ事が好きな友達に出会った。



うん、私はやっぱりこれが好き。






今日もあの時と同じように走っている人から
「遅いよー頑張って!」と声をかけられた。



「頑張らなきゃ!」と走ってみたあの日と違って



今日はかわりに


一つどんぐりをあげた。
最近拾った中でも一番かわいい美人さんだ。



「ありがとう、大切にするね!」



とその人は笑顔で走り去って行った。




うん、今日もかわいいどんぐりを見つけよう。




それをあげると、みんなが笑ってくれる。




それを見た時の気持ちが私は一番好きだから。